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好きなバレエ作品の話① くるみ割り人形

気づいたらクラシックバレエ歴21年になっているので、まあそれなりに舞台の場数は踏んでいるし、バレエ鑑賞の経験も少なくありません。そんなわたしのバレエ人生の中で、この作品がすき!というお話をしようかなと思います。

今日の話題は「くるみ割り人形」!一番好きな作品です。

 

くるみ割り人形」とは

チャイコフスキー作曲のバレエ作品で、「眠れる森の美女」「白鳥の湖」と並んで「チャイコフスキー三大バレエ」とも称されます。ドイツ出身のE.T.A.ホフマンという人が書いた童話が原作で、わたしも幼い頃に児童書で読みました。

少女クララ(原作ではマリー)がクリスマスプレゼントにもらったくるみ割り人形と夢の世界を旅する、というのが「くるみ割り人形」の大まかなストーリーです。バレエ作品にはわりと珍しいことに恋のお話ではなく、主人公のクララが大人ではなく子供なのもあって――これは各バレエ団の演出によって違うところもありますが、わたしに馴染みのあるのはクララを子役が演じるバージョンでした――小さい頃からこの物語に親近感を覚えて、好きだなと思っていました。

 

音楽が素晴らしい

前述したとおり「くるみ割り人形」はチャイコフスキー作曲なのですが、とにかく音楽が好き…!!

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まずはこの序曲が好き!これを聴くだけで心がクリスマスパーティーに向かうクララの友人になります。これは後述しますがわたしはクリスマスが大好きなので、クリスマスの夜のドキドキとか、でも寒くてちょっと凍えてる感じとか、そういうのが全部この音楽に詰まっていると思ってます。今これを書きながら聴いててもすごいわくわくしてきた。

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続けて好きなのが1幕2場、クララとくるみ割り人形のパ・ド・ドゥ。これはなぜか毎回聴く度に泣いてしまいそうになる曲です。振付も大好き。少女のクララが大人になっていく喜びと一緒に少しの切なさもある気がして、けれどどんどん音楽は新しい世界へのあこがれに広がっていって…最後に静かになるのもまた美しくて。

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そして大好きなパ・ド・ドゥから繋がるこの雪の曲も大好き!こんなにも「雪」を音楽で表しきった人、この世に他にいます??1曲の中に粉雪も吹雪も積もった雪の上を歩いてる場面も入ってる。天才。コーラスも豪華だし、これ踊ってる時めちゃくちゃ楽しんでます。チャイコフスキー楽曲はとにかく踊ってて楽しいんですよね。

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忘れちゃいけないのが金平糖の踊り。くるみ割り人形の中では行進曲や葦笛の踊り、花のワルツなどと並んで有名な曲ですよね。私はずっとこのバリエーションがあこがれで、ピンクのチュチュもかわいいし振付もかわいいし、何よりも音楽が好きでずっと踊りたい…!と願って10年以上が経ちました。繊細で大人っぽいかわいさがあって、ずっと大好きな曲です。昔携帯の着信音にしてたな…

 

衣装がかわいい

特にクリスマスパーティーのこどもたちの衣装が好き。かわいいんですよ…

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これはかなりお気に入りの写真。右側白のドレスがクララで、左のピンクがわたしです。クララの親友役をやった時で、この時の思い出話はあとにしますが、シニョンに巻き毛のウィッグを付けちゃったりもしてかわいかったのです。

下にパンツを履くクララのネグリジェとか、お菓子の国の住人たちの衣装とか、もちろん金平糖のピンクのチュチュとか。くるみ割り人形の衣装、全部かわいくて大好きです。

 

踊りが好き

といってもバレエ団によって振付違うし、わたしが踊り慣れているのも「うちのスタジオ」バージョンなのでなんとも言えないのですが…!

とりあえず全編の動画を貼っておきます。

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お芝居が好きなのでクリスマスパーティーの場面はずっと楽しいし、前述しましたが雪の踊りは何度やっても好き。コールドでみんなと一体になって踊るのってすごく楽しいです。舞台装置として雪が降ってくるのも嬉しかった。2幕の踊りだとわたしはずーっと花のワルツをやっていたので、それも好き。大学時代にもオリジナルの振付でやりました。

あとはやったことはないけど1幕でクララがくるみ割り人形を抱いて踊る場面、すごく好きで、踊りたかったなってずっと思ってます。

 

くるみ割り人形の思い出

ここからはわたしとくるみ割り人形のエピソードです。発表会でくるみ割り人形全幕をやったのは、覚えている限りだと4回。

1回目は小学生の時で、パーティーに呼ばれる子供と、兵隊と、花のワルツのコールドをやりました、多分。十数年前なので記憶があやしい!パーティーでもらうプレゼントを自分で用意しなきゃいけなくて、とびきりかわいい箱を母と一緒に選んだ気がします。

2回目は中学生なりたての時。この時が一番印象に残っていて、先に貼った写真もこの時のものです。当時バレエをものすごく頑張っていたわたしは、初めてここで「クララの親友」という役をいただきました。といっても他の子よりちょっと目立つ位置にいたり、クララ役のお姉さんとずっと一緒にいたりする程度だったのですが、それがとても嬉しくて。トゥシューズを履き始めたばかりだったけれど、頑張って練習してグラン・フェッテを回れるようになって、他の子がバレエシューズで出ていたパーティーの場面もトゥシューズを履いて踊らせてもらいました。初めて男性と組んでパ・ド・ドゥをやったのもこの年で、前回は群舞だった花のワルツのソリストを踊りました。他にもネズミと雪の精を踊ったので、着替えがいっぱいですごく忙しかった思い出です。

3回目は高校2年生くらいだったかな、こちらには苦い思い出があります。この時わたしは全幕の前にプログラムされていた小品集の方で上級生たちで踊ることになっていた演目で主役をいただいていて、全幕のくるみ割り人形での出番は少なめでした。それでもネズミの王さまと雪は踊ることになっていて、特にネズミの王さまの方は相対するくるみ割り人形役を今も一緒に踊り続けている同い年の幼馴染がやることになっていたので、張り切っていたのです。悪役やるの好きだったし。

でも小品集で主役をやっている本番中、しかもバリエーションを踊っているタイミングで足を怪我してしまい、その役は最後までやり切りましたが、その後の出番は全部諦めることになってしまいました。今でも悔しくて、悲しい思い出です。

4回目は大学生の時で、当時は大学の舞台の方が忙しかったため、スタジオの発表会ではスタッフメインにやっていました。演者として立たせていただいたのはクリスマスパーティーの招待客と、あと本番直前出番をに知らされたキャンディ・ボンボン。

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こんな感じの広がったスカートからおちびちゃんたちが出てくる演目です。多分本番3日前くらいに「衣装合わせしにこれる?」って聞かれて知りました。なぜかスタッフのお母さんたちの方が知ってた。本人が自分の役知らないなんてことある??

このスカートを広げているのが木の板なので、あばらに食い込んでものすごく痛かったのですが、上の写真みたいに後輩たちがこぞって中に入って写真撮りたがるのがおもしろかったし、おちびたちは可愛かったし、やりがいのあるお仕事でした。ほとんどアドリブで乗り切るしかない役でしたがそれを任せていただけたのも嬉しかったし。「キャンディおばさん」の役名が有名だったところ、「キャンディお姉さんって呼んで!」ってずっと主張していたのも懐かしいです。

そんなのがわたしとくるみ割り人形の思い出。発表会で一番最初に役をもらった、というところも、思い出補正で好きポイント加算されているかもしれません。

 

そもそもわたしは小さい頃からクリスマスが大好きで。クリスマスが近づくと兄たちと「今年はサンタさんに何を頼む?」なんてかわいらしい兄妹会議を開いていましたし、カトリックの家なので、イブの夜には毎年教会に行くのも好きでした。小学生の時は聖劇もやっててそれが楽しかったのと、夜に出かけるのがわくわくして。だからクリスマスが題材のくるみ割り人形が好きでした。

小さい頃からおとぎ話が好きで、夢の中に住んでるとか言われていたので、普通の女の子であるクララがひょんなことから夢の国に招待される、というストーリーも気に入ったんだと思います。チャイコフスキー三大バレエでも、一番平和で夢しかないのが「くるみ割り人形」なので。

それからわたしはカトリックの洗礼を受けていて、洗礼名が「クララ」なんです。奇しくもくるみ割り人形の主人公と同じ名前。だからずっとクララに憧れていたし、夢見がちなクララの性格に親近感もあったし、いつかやりたい!と思っていました。――まあ、わたしは背が大きくて、クララができるくらい上手になった頃にはもっと小さくてかわいらしくて上手なクララがいたので。わたしのバレエ人生ではクララをやるっていう夢は叶わなかったんですけど。

そんなちょっとの悔しさも感じつつ、今でもくるみ割り人形は一番好きなバレエ作品です。金平糖ができる可能性はまだまだあるしね!!