なんか話したかったりすること

したい話だけをする

舞台刀剣乱舞 山姥切国広単独行 日本刀史の話

※本編のネタバレを含みます。

 

刀ステは毎回自分の観劇日までにネタバレを見ないようにするのが大変です。今回は特に絶対にネタバレを避けろ!と各所からの圧が強かったので、ミュート機能を駆使して何も見まいと今日まで過ごしてきました。コロナの影響で配信が盛んになりましたが、やはり初見は現地で浴びたいので…

ということで本日ようやく、刀ステ単独行を観てきました!

わたしは刀ステの山姥切国広くん最推しのおたくのため、ありえんダメージを受ける覚悟で臨みました。なんなら一昨日くらいから緊張してた。その甲斐がある作品でした。

以下ネタバレしかないので、未観劇の方は絶対に観てから読んでください。

 

(「続きを読む」の機能、こうやって使うんだな…)(はてぶ歴何年?)

 

山姥切国広と刀ステがこれまで紡いできた物語への愛と信頼を感じる舞台でした。

これを見せてくれてありがとうという気持ちが真っ先に湧きました。七年の歴史がなくては生まれなかったものだなと…禺伝もそうでしたが、刀ステと観客間にも信頼があるので、キャラクターありきの2.5次元では難解な、受け入れられがたそうな演出すらも、より良い作品のために選んでくれることに幸福を感じます。刀ステのファンならこれも面白がってくれるだろうと制作側が思ってくれている幸せ。先入観に囚われず、面白いものを見せ続けようと挑戦してくれている幸せ。

単独行、素晴らしい舞台でした。

 

■山姥切国広について

ステの山姥切国広のことが大好きなので、彼のお話をたっぷり2時間半見ていられるというだけで幸せで。身もふたもないことを言うととにかくお顔が好きなので……今回席がだいぶ良く、肉眼で表情まで見えるくらいには近かったので、ただただ好きな顔を見ていられる贅沢な時間でした。

山姥切国広の迷い続けながらも前に進むことは決して辞めないところが好きです。今回のお話も例にもれず、そうしてついに迷いを振り切った姿があまりにもかっこよくて、おたくはダダ泣きでした。丸い金色の頭が眩しくて。ひらめくオレンジが美しくて。

正直極の姿よりも布を被ってる方が見た目が好きだったのですが、舞台上の山姥切国広極があんまりにも輝いていたのでだいすきになってしまいました。アイドルかと思った。きらっきらしてたので。

歴代の推しに迷い惑った末にものすごい強さを身に着けてかみさまみたいになっちゃった子が多いので*1――山姥切国広については付喪神なので最初から神様みたいなものではあるのですが――君は本当にわたしの推しの系譜だな!と思いつつ、こちらには推しが決めた道をどんな困難な道でも応援して見守ることしかできないので、来る陽伝に向けて心のサイリウムを点灯させておこうと思います。

それにしても荒牧慶彦さんがすごかった。役者冥利に尽きるだろうし、この人を好きなひとたちも嬉しかろうと思います。

 

■山姥切国広の影について

維伝からずっと我々を惑わしてきたオクレチャンこと黒まんばちゃんことかげんばぎりくにひろこと、なんて呼べばいいのかな!?影の彼について。

ようやくその正体が判明して、堕ちた姿ではないこともわかって、とてもほっとしました…思いを利用されてしまったのは悲しいですが、本科が断ち切ってくれているので!伯仲のオタク、さらに綺伝に足向けて寝れなくなりました。ありがとう山姥切長義…お前が優勝…

山姥切国広が己の影を抱きしめてあげられたのがすごく良かったなと思っていて、あそこでようやく山姥切国広は自分を認めて、愛してあげられたのかなと思うんですね。ずっと卑屈で自分自身を疎んでいた彼が、もうひとりの自分である影のことを受け入れられたからこそ、あの布を取り払った極の姿に至れたのかなと。

歴史を守る刀剣男士としての山姥切国広と、三日月宗近を救いたい山姥切国広は、どちらも山姥切国広。結局影の彼は敵方に囚われ利用される形になってしまいましたが、そしてその果てには自らの本科に斬られることになるのですが、あの瞬間山姥切国広が影と一体になることができたことは大きかったんじゃないかなと思いました。

三日月の呼んだ「煤けた太陽」も同時に受け入れ、あのきんぴかの極に繋がるのが美しすぎました。オタク、一生太陽と月を擦って生きる生き物なので。個人的にステ山姥切国広の金色の頭を見ると悲伝の真剣必殺が真っ先に浮かぶんですよね…あれを太陽だと思っていたので、今回イメージがアップデートされました。

それはそれとしてかげんばちゃんかわいかったです……ま、また会えないですかね……清光特命のころには長義に折られちゃってますよね……無念……

 

三日月宗近について

まず演出面で、そんなのあり!?って叫びました。感謝祭までもがここへの布石だったなんて…

悲伝のラストシーンは台詞も殺陣もよくよくわたしに染み込んでいるので、見ながら息も絶え絶えでした。わたしは悲伝は青年館で観たので、大楽は銀劇だったと後から知って呻きました。そこまで被せる~!?と思ったらそこは想定外だったみたいですね(パンフ情報)。

山姥切国広が三日月宗近のことをちゃんと考えるの、実はつらかったんだっていうのが結構衝撃で。悲しくて悲しくて救いたくてでも今の俺は弱くて…ってずっとぐるぐるしちゃってたんだなとわかって、慈伝を見返したくなりました。だからこそ今回きちんと三日月宗近のことを思って、苦い記憶であるはずの別れの時間のことも考えられて、そこで気づくことがたくさんあって良かったなあと思います。

悲伝の時に小烏丸に「三日月宗近はどんな刀だった」と聞かれて、山姥切国広は「美しかった」と答えたのですが、今回の同じ問いに対しては「同じ本丸の仲間であり、導いてくれた師であり、かけがえのない友人であり、茶ばかり飲んでるじじいだ」とかなり具体的になっていたのが印象的で。三日月宗近に思いを馳せた結果、鮮明な言葉がでてきたのかなと思いました。彼の中で三日月宗近という刀がより近くなったのかなというか、悲しみというフィルターを取り外してようやく共に過ごした日々を思い出せたなというか…うまく言葉にできないのですが、とても良いシーンで涙ぐんでしまいました。

 

織田信長について

刀ステの物語の中で重要な立ち位置になるんだろうなと皆が思っていた織田信長。ついに現れたその人は、「ああなるほど!」と思わせてくれる説得力がありました。

シリーズに登場した歴史上の人物は、自分の行く末を知ると、多かれ少なかれ動揺し、なんとか回避しようとしてきました。=歴史改変です。けれど織田信長本能寺の変のことを知りつつも、そこに向かって生きるだけと言います。そして織田信長のことを誰がどんな描き方をしてもすべて許容すると。二次創作肯定派の信長です。FGOの信長とか思い出しました。

その懐の広さというんでしょうか、やはりただびとではないなと。そしてこの気持ちの良い信長が、綺伝に出てきた黒マントの信長とは別人であったのもちょっと救われました。朧のひとたちについてはちょっとまだ整理しきれていないのですが。

そして虚伝EDの「お前の描くあの男は何者なのか」という歌詞を思い出しました。わたしはこの歌詞が三日月宗近のことでもあると思っていたのですが、一周回って織田信長に戻ってきた感じです。というか真影の炎、今聞くとすごいいろいろ詰まってて…!すべての道は虚伝に戻るんですね…すごいな…

ちょっと逸れますが山姥切国広が明智光秀を演じた=思いを馳せたこと、ぐっときました。演者さん的に、もう見れないので。鶯丸ももう見れないんですがパペットでいたの、嬉しかったな。

 

■刀ステの物語について

またひとつ謎が解けて、同時に新たな謎も生まれたわけですが、確実に終わりへと向かっている刀ステの物語が大好きです。とっても面白いし、これをリアルタイムで追える時代に生まれて本当に良かったなと思っています。

わたしは虚伝再演からのファンですが、その虚伝再演を観たのが今日行った銀劇だったので、本能寺のシーンには震えました。あの日見たものをまた同じ場所で、なんて、ものすごく贅沢じゃないですか。

yuyuto-1.hatenablog.com

上記の禺伝の記事で「禺伝はわたしの話だった」と書いたのですが、禺伝で知った「物語を愛すること」を改めて単独行にて本編に戻った時に感じて、また禺伝に思いを馳せました。シリーズ的には虚伝、悲伝、綺伝あたりを見返したいし、感謝祭の配信が買えるうちにまた見ておきたい。いつもそうなんですが、刀ステを見ると刀ステが見たくなるんですよね。刀ステを観て、刀ステに思いを馳せ、その物語を愛する。例えそれが罪だとしても、この思いに報いてくれることを信じているので、これからも愛し続けたいと思います。

 

モリミュを観た時にも思ったのですが、観劇って本当に贅沢な趣味だなと思っていて。

何カ月も前から予定を押さえて、安くないチケット代を払って、交通費も払って劇場を訪れ、何時間もその世界だけに浸る。しかもすごいのはその世界は同じ人間によってリアルタイムに生み出されている。

お財布にも時間にも心にも余裕がないとできないことだし、今の日本の演劇界はどうしても都会に集中しているから、そもそも劇場に近いところに住んでいないと常習的な観劇は難しいですよね。

今のわたしはある程度先の予定が見える土日休みの仕事をしていて、それなりに収入もあって、東京に住んでいるから、観劇ができます。物語を楽しむ心を持っているから、ひとつの舞台作品に心を動かされ、感動し、こうして家に帰ってからも思いを馳せて浸ることができます。

ほんっとうに贅沢なことをしている…!

最近は良質な作品ばかりに出会っているので、この贅沢を強く感じています。観劇を楽しめる人生で良かったー!

 

ちなみにすぐそこにドラマティカACT3が迫っているので、こちらも楽しみです。しばらくは刀ステに浸りつつ、この贅沢を楽しもうと思います。

単独行、最後まで無事に旅を続けられますように。チケット難すぎてこの後は大楽ライビュを待つのみです!つらい!

*1:SAOキリトくん、論破V3最原くん、TOXジュードくんなど